インクスケープで作成!CDジャケットのPDF入稿【雛形DLあり】

こんにちは、CYRANOです。

この記事では、バンド活動でデザイン担当になった人に向けた情報発信をしています。

私もそうなんですが、本格的にデザインの勉強なんてしたことはありません。

かじった程度の知識や技術しか持ち合わせていない中、いかに創意工夫してクオリティの高い作品を作るかを目指しています(苦笑)

そんなこんなですが、、、

先日、このような記事を書きました。

CDジャケットから、バックインレイ、帯など全てを自作しようという内容なんですが、

こちらを読んでくださった読者の中で、CDジャケット(ブックレット)に関して

  • 具体的に雛型に合わせてデザインを入稿するとき何のソフトがいいの?
  • イラレ?フォトショ?でも高いから使いたくない、あなたはコレをどうやって作ったんですか?

といったご意見をいただきました(感謝!)。

結論から言うと、イラストレーターもフォトショップも使っていません(CS2を持ってはいますが・・・笑)

代わりにインクスケープで入稿データを作成し、それをPDFに変換して印刷業者へ入稿しています。

個人的にそのやり方が楽だからというのもありますが、今回はもう少し掘り下げてみて、その理由や具体的な方法についてご紹介したいと思います。

目次

印刷業者も推奨!? PDF入稿の最大のメリット

まずはじめに、私がPDF入稿を好む理由について、そのメリットなど思うところについてお伝えします。

印刷業者へデータ入稿する方法には、イラストレーター等で作った「データ入稿」と、PDFに変換した「PDF入稿」の2種類があります。

以前は「データ入稿」が主流の印象がありましたが、最近では「PDF入稿」というのもよく目にするようになりました。

私がよく利用しているラクスルもPDF入稿を推奨しています。

ラクスル データ作成に関するよくある質問 より

トラブル回避の側面からもPDF入稿を推奨する印刷会社が増えているそうなんですが、そのメリットには次のようなものがあるそうです。

PDF入稿のメリット

1.OSやバージョンが違っても同じ環境で確認ができる

ExcelやWordなどの他のデータ形式で入稿すると、文字化け、レイアウトのずれなどOSや環境によって変化する可能性がありますが、PDFはどの環境で見ても同じ見え方をします。

2.フォント埋め込み機能がある

イラストレーターやインデザインなどはアウトライン化を行う必要がありますが、PDFにはフォント埋め込み機能が搭載されているため、設定1つで簡単にフォントを埋め込むことが可能です。

3.データが軽い

イラストレーターやインデザインなどのデータはボリュームが大きいと、容量が大きくなりダウンロードやアップロードだけでも大変時間を要します。写真をきれいに印刷するには、高解像度のデータを使う必要がありますが、そのようなデータは容量を圧迫し、ダウンロードだけでも大変な時間を要します。PDFは高解像度の画像を変換しても、画像が粗く見えずに容量をおとすことが可能です。

引用元:大平印刷(https://www.taihei.co.jp/useful/column11

と、まあ専門的にみると、このようなことがメリットとしてあげられていますが、そんなことよりもまず私が思うPDF入稿の最大のメリットは、

  • イラストレーターを持っていない
  • イラストレーターは高いから使いたくない
  • ほとんどの印刷業者がaiデータでの入稿しか受け付けていないから困る

という人の悩みを、見事に解決してくれる点にあると感じています(笑)

実際にPDFで入稿するやり方も驚くほど簡単で、ラクスルのPDF入稿を例に挙げれば、商品を注文してPDFデータをドラッグ&ドロップでアップロードするだけで入稿できてしまうほど手軽です。

ラクスルでのPDF入稿の流れ

①商品を注文して
②ドラッグ&ドロップでデータをアップロード
③確認画面でチェック
④マウスオーバーで両面の仕上がりをプレビュー確認

以上のような理由から、私はPDF入稿を好んで活用するようになったわけなんですね。

となってくると、

最終的にPDFに変換して入稿したいから、じゃあソフトは何を使ってデータを作成しようか

と、私は逆算で考え始めます。

そして、現在ではインクスケープを使ったデータ作成に落ち着いています。

Inkscape(インクスケープ) ダウンロードページ

あまりにも有名なので既にご存知かもしれませんが、インクスケープはWindows、Mac問わず無料で使えて、かつイラストレーターにも匹敵するほど高機能ということで、人気の高いソフトです。

インクスケープでデータを作成する理由

最終的にPDFに変換出来ればいいんだから、データ作成はワードやパワポ、キーノートでもいいじゃん?

と思って、私自身、他のソフトを使っていた時期もありましたが、インクスケープで入稿データを作成するようになったのはこういったことが理由です。

理由①:レイヤー機能が便利

単純な話ですが、レイヤー機能が使えるという点は他のソフトにはない利点だと私は思います。

たとえば、CDのブックレットのデータ作成をインクスケープで作成しようとしたときに、私は次に示すようにレイヤーわけして、図形や文字オブジェクトを配置、編集していきます。

レイヤー管理

レイヤー(上から順に)

  • ガイド③(赤)… 文字などを収める範囲
  • ガイド②(水色)… 仕上がり寸法範囲
  • ガイド①(緑)… 塗り足し延長範囲
  • トンボ … 裁断マーク
  • デザイン … ここにデザインする

基本的に、デザイン以外のレイヤーをロックして編集にあたり、データが完成してPDFに変換をする際に、ガイド①〜③のレイヤーを非表示にして変換しますが、ボタンをワンクリックだけでロックや非表示ができるので、これも地味に嬉しい機能なんですね。

理由②:作成したテンプレートを保存できる

上記のようにデータを作り込んで、自分が使いやすいようにレイヤー分けしたものをテンプレート保存をすることができるという点も、私がインクスケープを使いたくなる理由の一つです。

テンプレートのダウンロードリンク

せっかくなので、私がインクスケープで作成したCDブックレット、バックインレイ、帯のテンプレートを公開いたします。

ダウンロードしてご自由にカスタマイズしてお使いください。

ブックレット・帯

ブックレット・帯

用紙サイズ:A4(横)

バックインレイ(内側)

バックインレイ(内側)

用紙サイズ:A5(横)

バックインレイ(外側)

バックインレイ(外側)

用紙サイズ:A5(横)

入稿データの作成

入稿データの作成ですが、これらのテンプレートを使って作成していきます。

基本的に、「デザイン」以外のレイヤー(ガイドやトンボレイヤー)をロックした上で、「デザイン」レイヤーに編集を行います。

実際にどんな感じに作っていくのか、簡単に図を用いてご紹介します。

ブックレット・帯のデータ作成

ガイド②(水色)の線の枠が、ブックレットの仕上がり寸法の範囲を示します。最終的にこの寸法にあわせて裁断しますので、デザインは気持ち大きめにして配置します。

ガイド①(緑)の線の枠くらいまで塗り足し部があればOKです。

続いて、文字やロゴなどを同じく「デザイン」レイヤーに配置していきます。

この際、切れてはいけない文字やオブジェクトは、ガイド③(赤)の線の枠を目安に、枠内に納まるように配置します。

どんどん配置していきます。

テンプレート下段に帯のガイドがあるので、次はそれをもとに帯を作成していきます。

帯は2枚作成できるようにテンプレートを作っています。

一つ作成できたら、全てをコピーして反対側のほうにも配置します。

ブックレット(8P-1P)・帯 入稿用データ

ガイド①〜③のレイヤーを非表示にして完成です。

ブックレット(8P-1P)・帯の入稿用データができました。

ブックレットの他のページも上記と同様に作成するという感じですね。

バックインレイのデータ作成

バックインレイのデータ制作でもやることは同じです。

ガイドやトンボレイヤーはロック状態で、デザインレイヤーにて編集します。

バックインレイ(外側)

バックインレイ(外側) 入稿用データ

バックインレイ(外側)の入稿データができました。

バックインレイ(内側)

バックインレイ(内側)テンプレート

基本的にバックインレイ(外側)テンプレートと作りは一緒ですが、CDを収納する部分の円がガイドとして引かれています(ガイド④)。

ガイドを参考にしながら、レイアウトを配置します。

バックインレイ(内側) 入稿用データ

バックインレイ(内側)の入稿データができました。

入稿データをPDFに変換

入稿データが全て完成しましたら、PDFに変換します。

インクスケープの「ファイル」メニューから「名前をつけて保存」を選択し、保存ファイル形式を「PDF」にして保存すればOKです。

PDFに変換されたら、印刷業者にてPDF入稿を依頼すれば作業完了となります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

ちょっと駆け足気味だったので、わかりにくいところもあったかもしれませんね。

今回は、私が実際にCDジャケット制作時におこなっていることを例に、インクスケープで入稿データを作成し、それをPDFに変換して印刷業者へ入稿するというひとつのやり方をご紹介しました。

制作の裏側をお見せするのは、ちょっぴり恥ずかしいような、楽しいような感じですが、「こんな風にして作っている人もいるんだな〜」くらいに楽しんでいただければ幸いです。

ではまた!

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